- インプラント表面がタンパク質や細胞の馴染みやすい最も適した状態になる
- その結果、インプラントがより早く、より強固に骨と接着する
- このことにより、インプラント治療の成功確率が高まる
- また、歯をつくるまでに要する治療期間が、短くなることが期待できる
- そして、あごの骨の状態などにより、本来治療が難しい症例においても、インプラント治療の信頼性を高めることが期待できる。
- さらには、インプラントと骨とがより強固に接着するため、骨造成手術などの必要な外科処置を回避できることにつながる
当院では患者様にメリットがあると判断した治療技術や診療設備を積極的に導入しております。
光機能化インプラントもそのひとつです。
これより光機能化インプラントの詳細をご案内していきますので、その素晴らしさをぜひご覧ください。
WEB百科辞典「Wikipedia」によると、
オッセオインテグレーション(英語: Osseointegration)とは、チタンと骨が光学顕微鏡のレベルで直接的に一体化した状態の事。
ラテン語で骨を表すosと英語で統合を表すintegrationからの造語。近年主流のデンタルインプラントにおける重要な治療概念である。
術者の技術と経験 | 外科手術のため技術や経験に基づいた診断力・判断力は欠かせません |
---|---|
治療計画 | 患者様の口腔状態に合った治療計画を立てられなければなりません |
治療設備・衛生設備 | 外科手術に対応できる設備も必須です |
インプラント体 | 国内製・海外製、一流メーカーもあればそうでないメーカーもあります |
インプラントは顎の骨にしっかり支持されてこそ機能するため、オッセオインテグレーションはインプラント治療の成功の鍵とも言える重要な概念です。
そして、スーパーオッセオインテグレーションはインプラント治療のさらなる成功を目指して開発された新たな概念です。
最適なインプラント体として評価の高いチタンですが、バイオロジカルエイジング(術前インプラント体の老化)という唯一の欠点があります。
時間経過に応じて(保管しておくだけで)、インプラント体表面に大気中の炭化水素が付着し、生物学的活性および骨結合能が低下するという問題ですが、これは手術前のチタン製インプラント体の全てに起こっている問題です。
しかし、この問題はUCLA歯学部 終身教授 小川隆広氏らによって解決されました。
チタンのバイオロジカルエイジングを回復させるための技術研究から光機能化は発見され、さらなる開発によってインプラントのアンチエイジング化技術として実用化され、新たな治療概念“スーパーオッセオインテグレーション”として定義されました。
つまり、チタンのバイオロジカルエイジングを回復させるために光機能化処理を施し、“スーパーオッセオインテグレーション”を可能にしたインプラント体が光機能化インプラントということになります。
製造後数ヵ月経過したインプラント体表面に光機能化処理を施すことで、細胞接着能、細胞安定化・維持能が2〜5倍に高まり、スーパーオッセオインテグレーションが起こるようになります。
この技術はインプラント治療の予知性を高める画期的な発見として大きな期待を集めています。
インプラント体の状態 | インプラントの骨接触率 | 骨結合の概念 |
---|---|---|
製造後数ヵ月経過 (老化) |
約45〜60% | オッセオインテグレーション |
新鮮チタン面 (例えば製造直後) |
90%以上 | オッセオインテグレーション |
光機能化インプラント | 100%に限りなく近い | スーパー オッセオインテグレーション |
この表は光機能化インプラントの骨接触率の高さを示しており、骨内での安定度は、そうでないものと比べて3〜30倍程度早いスピードで確立(骨の状態によって)することが報告されています。
また、上部構造(人工歯)を製作するまでに必要な治癒期間を半分程度に短縮しても、これまでと同様の高い成功率を示すこともわかっています。
製造直後のインプラント体には炭化水素がほとんど付着しておらず親水性を示してますが、4週間程経過すると大気中の炭化水素が付着してインプラント体の表面は疎水性となります。
これがインプラント体のバイオロジカルエイジング(老化)で、インプラント体の骨との強固な接着、いかに強い骨結合(オッセオインテグレーション)を実現できるかを考慮すると理想的とは言えない状態です。
しかし、インプラント体の表面に光機能化処理を施すことで超親水性に変化させ生体によく馴染むようにすることができます。
光機能化されたインプラントは、骨形成を担う骨芽細胞や必要なたんぱく質が早く付着し、周囲の骨の形成を早めることがわかっています。
光機能化していないインプラントと比較すると、2.5〜3倍以上の骨との接着強度を示すことが実証されている。
これが超結合、スーパーオッセオインテグレーションです。
右の画像は、骨芽細胞を通常のチタンと光機能化したチタン面にそれぞれ培養して3時間後の顕微鏡写真です。
光機能化したチタン面には圧倒的に多くの細胞が付着しており、また細胞突起を進展させ、機能状態が好転していることがうかがえます。
光機能化と呼ばれる骨結合の増強効果は次の3要素すべてが満たされてはじめて得られます。
- チタン表面の超親水性
- 製造後にチタン表面に付着した炭化水素の分解・除去
- チタン表面の電荷の最適化
光機能化は、手術直前にチタン製のインプラント体に一定波長の光を複数照射することによってインプラントを新鮮な状態に戻す技術です。
比較的容易な症例でのインプラントの成功率は世界平均で約92%と言われていますが、光機能化を用いた場合の成功率は99%以上と大きく改善しています。
当院ではインプラントの治療精度を高めるためにCTなどの治療機器を導入してまいりました。
光機能化インプラントの登場はその意味でも朗報です。
インプラント治療だけでなく新しい技術は精査吟味した上で導入し、地域の患者様にお伝えしてまいります。